競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【東海S】先手が理想
2024/1/15(月)
当然に前めで競馬する馬には速い馬場はこの上もない設定か。ウイリアムバローズは前走が大台の504キロ。控える競馬も出来たが枠も外めだった事もあろう。枠次第ではやはり先手が理想だろう。
前走が初ダートで2年半ぶりの勝利のヴィクティファルス。去勢やいろんな事を経ての勝利。ここも注目の一戦だ。関東から4歳馬が2頭。ユニコーンS3着のブライアンセンスはダート専科で3着以下なし。前2戦は遠征ながら体を大きくして結果を出す。
初西下のオメガギネスも申し分のない実績。4戦全てで場所が変われど同じ馬体重で安定した内容。ペプチドナイルも中間に坂路50秒台とこれもいい。古馬か若さか混戦だ。
【日経新春杯の回顧】
24年1月14日(日)京都11R 日経新春杯(G2) 芝2400m)
- ブローザホーン
- (牡5、美浦・中野栄厩舎)
- 父:エピファネイア
- 母:オートクレール
- 母父:デュランダル
- 通算成績:18戦6勝
週の始めは週刊競馬B誌を入手し、マイデータを更新し、夕方にハンデを書きこむ。その過程で驚いたのがハーツコンチェルトが次週の中山、初富士Sに登録があった事だ。59キロのトップハンデを課せられていた。
察するにもし自己条件に出た時にハンデ戦なら何キロなのかを観たかったのかと。連闘で出てくる事はなかろうと推測される。日経新春杯を検証する時に辿ってきた成績よりもハンデが軽いなと。改めて条件馬だったのを思いだした。
レースを回顧する。4歳馬が直線で伸びあぐねている間にゴールに真っ先に入ったのは5歳馬ブローザホーンだった。それも馬券発売開始からずーっと1番人気の支持を保ったままの重賞初制覇。またまたファンの揺るぎなく勝ち馬を見極める眼に驚きであった。心房細動発生での競走中止を重く受け止めてしまう自分にはこの馬の勝つシーンがどうしても予測できなかった。
確かにちょっと渋めの馬場だったかも知れない。また流れもディアスティマがリビアングラスよりも前での競馬を主張。そこにシンリョクカも加わってちょっと早い流れ。サヴォーナがスタートこそ速くなかったがすぐに前へとりつき内の4番手と前について行く展開。
3コーナーの坂あたりでサヴォーナの行きっぷりの良さが目立っていた。坂の下りでサトノグランツにハーツコンチェルト。それをマークするブローザホーンが動いて4コーナーへ。サヴォーナのやや窮屈になって外の2頭の勢いに遅れる。サトノグランツが先頭に立ってハーツコンチェルトが並んだ、と思ったのも束の間、外からブローザホーンが伸びて前へ。
最内へと進路をとれたサヴォーナがジワジワと前を交わして伸びるも1馬身先のゴールには既にブローザホーンが居た。ハーツコンチェルトの伸びがいちばん悪く思えた。あの《ナカノ!ナカノ!》の中野コールの中野栄治師。ファンにまたもや押されての重賞制覇であった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。