競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【大阪杯】お天気がカギ
2024/3/25(月)
それでも今年も大阪杯にはいいメンバーが揃った。ダービー馬、タスティエーラ。有馬記念を改めて見直してみると直線1Fで左右から絞られて6着。それでもあそこからよく追い上げた内容だ。ソールオリエンスもやはり追いづらい混雑に居た。枠も脚質も性格もあっての結果だろう。いちばんこの馬を知っている横山武史に戻った今回、ダービーの鬱憤を晴らす時が来たのかも知れない。
そしてベラジオオペラ。ダービー時に減っていた体も秋には戻しての足跡。前走はプラダリアの渋とさに負けただけ。古馬はプラダリアを筆頭にローシャムパークにリカンカブール、ステラヴェローチェにミッキーゴージャスと脇を固める。あとはお天気だ。雨の降らぬ日がないぐらい。どれくらい馬場が悪いのか。
【高松宮記念の回顧】
24年3月24日(日)中京11R 高松宮記念(G1) 芝1200m)
- マッドクール
- (牡5、栗東・池添学厩舎)
- 父:Dark Angel
- 母:Mad About You
- 母父:Indian Ridge
- 通算成績:12戦6勝
まさしく菜種梅雨、中京競馬場もずっと雨が降り続く。同じ舞台の8Rでインを逃げ切る。続く9Rも逃げ切り だが馬場の真ん中を通る。このふたつの意味は?と考える。内はずっとましだと思っていたのに。馬場と展開が微妙だ。
パドック、返し馬と観て、香港馬ビクターザウィナーが短距離馬らしい体つきで思っていたよりいい。ゲートOP、テイエムスパーダが躓いた様だ。白い馬体が前に、マッドクールだ。ビクターザウィナーも外で悪くないスタート。内でマッドクールが主張して相手を簡単に内には入れさせぬ。ウインカーネリアンが3番手。ママコチャも続く。
ルガルも好位組。ナムラクレアは真ん中の内のエアポケット。1F半ぐらい行った処でビクターザウィナーが先頭に。マッドクールは内の3番手。前半3Fの34・9は昨年ほどではないにしても遅い先行馬ペース。カーブを廻り直線へ入ってきたが、ビクターザウィナーは外へ出してきた。マッドクールは内へ。その2頭の間が大きくポッカリ開いたほど。マッドクールはラチ沿いのいちばん内へと寄っていく。
あと1Fでは内からマッドクールが先に出た。ビッグシーザーの内を抜いたナムラクレアが前を追う。一完歩ずつ前へと迫るがゴールはすぐに来た。ビクターザウィナーが3馬身の差が開いて3着。外のウインカーネリアンが4着。5着には開いた内めから脚を伸ばしたロータスランドがあがった。
ママコチャ、トウシンマカオは伸び切れず。この馬場でも上り2Fは11・0~11・6。良くぞナムラクレアが迫っただけで前の馬の流れだった。坂井瑠星は内が我慢できる馬場だと感じていた様だ。ビクターザウィナーの鞍上はあの判断だった。終ればルガルは中京の芝は初めて。ま、いろんな事が重なる。雨の高松宮記念。この馬場を読み切った者が勝った。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。