競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【フェブラリーS】勝利に一番近い馬
2020/2/19(水)
今回はG1だけに斤量が57キロ。インティやモズアスコットや他にも斤量を背負ってきている馬達にはありがたいところだ。
初ダートで勝ったモズアスコット。坂路での追い切りでもかなり動ける馬。むしろダートは歓迎と思えるもの。前走1400の流れはコパノキッキングが2着に粘るぐらいだから、そう速くはない。展開の助けで勝ったのでなく、ダート適性があったと言うこと。距離がマイルへ伸びようと、何ら心配はないとみたい。
インティの7勝は、全てどの馬よりも速い上りを駆使してのもの。逃げて、好位づけをして最速で上がる。それでは後ろの馬が勝てるはずがない。チャンピオンズCでは、クリソリベルもゴールドドリームもインティを上廻る切れ味を出している。相手が一枚も二枚も上なのは確か。インティ自身が昨年よりも体調面が少し下なのか、その見極めが問題となる。
伏兵は、常にいい脚を使うワンダーリーデルか。だが今回の勝利にいちばん近い馬はモズアスコットだ。
【京都記念の回顧】
20年2/16(日)2回京都6日目11R 第113回 京都記念(G2)(芝2200m)
- クロノジェネシス
- (牝4、栗東・斉藤崇厩舎)
- 父:バゴ
- 母:クロノロジスト
- 母父:クロフネ
京都記念(G2)の結果・払戻金はコチラ⇒
小雨が時折降るが、傘がなくとも観戦が出来るぐらいの空模様。だが芝のコンディションは相当に悪い。芝のレースがメインまでに4回あったが、全てのレースで直線では外へ出してきていた。それも何頭分かと思えるほどの外。かなり痛めつけられている京都競馬場の芝はもう回復不可能なぐらいだろう。勝ち馬は全て差し、逃げた馬は直線で外へ出してきても余力も残せていない。
アメリカズカップの逃げで始まった京都記念。和田騎手としては、少しでもスタミナを貯めようと1頭だけが内ラチ沿いを進む。道中は13秒台が一度、スタート直後と計2度とスローな逃げとはしてない。10馬身ぐらいの離し逃げを展開。直線でも馬場の真ん中へ出してくるほどまだ力は残っているが、もっともっと馬場が悪くなって後ろの馬が脚を使うぐらいのコンディションなら違っていたか。
人気どおりの順当な結果に終わった。人気を二分した4歳牝馬、カレンブーケドールとクロノジェネシスだが、まず枠順がカレンブーケドールには嬉しくなかった。このコンディションで1番枠は歓迎しない。スタートしてすぐに外へ持ちだしてクロノジェネシスを見る形。だが位置としては後ろから2頭目で、クロノジェネシスは常に3馬身ぐらい前にいる。
4角手前で相手より先に仕掛けていくが自分は外、相手は前の中ほど。結局は一度も並びかけに行けずじまい。最後の最後はクロノジェネシスが外へヨレ気味となり外へ流れて、その内へと入らざるを得ず。終始、相手が優位に終わってしまっていた。
その勝ったクロノジェネシスの馬場入りし4角へとキャンターで行く姿をじーっと観ていたが、12キロ増なんて微塵も感じさせないぐらいスッキリした体のラインだった。全体に肉が付いたと思えるもの。3着のスティフーリッシュは、自分が先頭かの2番手。直線入口も早めに仕掛けて行ったが、決め手の差が出た感じである。ラヴズオンリーユーを頂点とする4歳牝馬。今年も活躍か。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。