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古泉博英調教助手

王者と再戦するにあたって

-:左回りの1600mは、この馬に一番合っているところですが、相手にホッコータルマエだとか、ベルシャザールなど強い馬も出走してきます。

古:この辺がとてつもなく分厚くて大きな壁ですよね。眩しいばかりの実績の大御所様ばっかりですからね(笑)。

-:ベルシャザールというのは、武蔵野Sで1着になった馬だったんですが、その時に戦ってみて、あれから時間も経ちましたが、今は逆転可能な感触はありますか?

古:「絶対、手応えがない」とは思わないですけどね。こっちは明け4歳で、若さと勢いで勝負するだけなので。あちらはもう無類の強さを誇っているのを実績で証明していますからね。東京1600mへの適性の高さが、列強と比較しても勝負できる部分ではあると思います。

-:すばるSのレコードでの勝利を見ると、パサパサのダートよりもちょっと湿ったくらいのダートになったほうがベストウォーリアの良さというのは出るような気がしますが、どうでしょうか?

古:僕としては、ダートのレコードになるような馬場は怪我が怖いので嫌というのもあるんですけど、パワーがあるので、別にパサパサのダートでも走るとは思っています。バリバリのアメリカ血統の、いかにもダートを走るために生まれてきたような子なんで。

-:バリバリのアメリカ血統は7Fくらいまでの馬が多いように思うのですが、ベストウォーリアは違う気がしますね。



古:この子は気性が物凄く良いおかげなのか、1800mくらいまでは行けそうな気がしますね。だから暮れの中京のチャンピオンズカップも左回りなので、長い目でチャンスがあったら出していきたいと考えています。

-:春はフェブラリーS、冬はチャンピオンズカップという感じで。

古:まずは出られたらいいんですけどね(笑)。賞金加算していかないと、また苦しいことになって、根岸Sの二の舞になってしまうので。

-:ダートの上の方は、どのレースを使うにもお金持ちじゃないと走れないですからね。そうなるとやっぱりフェブラリーSで好結果を出せば、一番手っ取り早く解決します。

古:そうなれば一番いいんですけどね。ここは野球例えるなら、三振してもいいからホームランを狙いに行ってもいい場所だと思うので、一撃必殺のフルスイングをしないと行けない場面だと思っています。

-:なるほど。上手いこと当ててヒットを狙いに行くようなところではないということですね。

古:ガチンコで、全力で、真正面からぶつかったらいいと思っています。

-:今の状態で言うと、疲れの心配もなく、若さで勝負できるだけのコンディションにはあるということですね。

古:昨日まではそう思いましたし、今日の調教助手の乗った感触でも心配なさそうだったので、今週で疲れは抜けきるかなと思っています。

-:疲労回復の能力というのは、若さ故の武器でもありますね。

古:若いのもあるし、あの馬自体やっぱり体力もあるんでしょうし、あとは昔と違ってケアの技術が発達してきているのもあると思います。



-:性格的にはどんな馬ですか?

古:おとなしい馬ですね。2歳の頃から馬場入れの誘導馬なんかもできた馬なので、どっしりとした馬で、新馬らしからぬ落ち着きがありました。

-:ベストウォーリアでひと儲けしようと思っているファンもいると思いますが、古泉さんも元競馬ファンだった訳ですから、ファンの気持もよくわかると思います。最後にメッセージをお願いします。

古:ホッコータルマエ、ベルシャザール、ワンダーアキュート、ニホンピロアワーズなど、強力な相手に、中1週、レコード勝ち明けで、どれだけ立ち向かえるかと思いますが、いい状態でレースに臨めそうなので、僕自身楽しみにはしています。

-:ホームラン狙いのフルスイングを期待しています。ありがとうございました。

ベストウォーリアの古泉博英調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒

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【古泉 博英】 Hakuei Koizumi

昭和42年5月生まれの46歳。大学生時代、アルバイトの同僚が大の競馬好きでその影響を受ける。その後、スーパークリークやオグリキャップの活躍に感化し、競馬ブック裏の牧場スタッフ募集広告に目をつけ、美浦トレセン近くの武田牧場で競馬人生がスタート。入学ギリギリとなる26歳で競馬学校の厩務員過程に入り、卒業後は解散するまでの7年間、大根田裕也厩舎に勤務。現在は石坂正厩舎に所属し、ベストウォーリアでG1初制覇を狙う。思い出の担当馬としてサイレンスボーイや、ウインシンシアを挙げてくれた。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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