復活果たしたローマンレジェンド ライバル撃破へ秘策アリ!?
2014/12/27(土)
-:ただ、先ほどの話ですが、怖がるという面と、砂を被るという面は関係ないのではないでしょうか?
牧:案外そうじゃないんですよ。トーセンラーも同じことを言っていたと思うのですが、雨が上から降ってくると、首を振って嫌がるんですよ。ポツポツ、ポツポツ当たるのが。去年の帝王賞で雨が降っていたでしょう?凄く不良馬場だったんですけど、全然走らなかったでしょう?たぶんそれがあると思うんですよ。それぐらいじゃないかな、上から雨が降る競馬は。
-:馬場が云々じゃなく、ということですか?
牧:馬場がどうのこうのは違うと思います。馬場が悪いのは大した問題ではないと思います。でも、自信の付いた今なら、雨が降っても分からないですよ。
-:難しい応用問題ですね(笑)。
牧:去年のかしわ記念も長期休み明けで順調ではなく、レースは何とか使えたんですが、左トモを落鉄して。馬も乗っていないから、ちょっとナーバスになっていてゲートを出遅れて。それに小回りも得意じゃないんですよ。トビが大きいから。小回りも苦手だし、長距離輸送も苦手なんですよね。体重がガーンと減るから。
-:勝ったことのあるレースですが、東京大賞典は長距離輸送ですよね。
牧:毎年体重がメチャクチャ減っているでしょう?長距離輸送は苦手なんです。
「ここでホッコータルマエらを倒さなければ、来年は他の馬の独壇場になってしまいますから」
-:マイナス9キロ、マイナス13キロ。それくらい余裕を持って造らないといけないのですか?
牧:そうです。今回は504とか連勝していた時の体重で出られるのではないかと思うのですが、自分の中で504から506で競馬に出ていた時が一番強い競馬をすると思っているので。
-:数字的なことよりも、筋肉の膨らみというか、その辺は回復してきていますか?
牧:間違いなく回復していると思います。前回よりは全然いいと思います。
-:では、楽しみですね。勝利を意識していますか?
牧:ええ。それに、ここでホッコータルマエらを倒さなければ、来年は他の馬の独壇場になってしまいますから。
-:でも、これだけタフな馬ですから。
牧:傷だらけですけどね(笑)。小さいとはいえ3カ所くらい骨折してるんじゃないかな。
-:前回より自信の一戦ですね。
牧:そのつもりです。
-:その表情の差というのもこの馬の魅力の1つですね。一番は走ってくれることでしょうが(笑)。長距離輸送が課題のローマンレジェンドに今回秘策というのはありますか?
牧:秘策というほどじゃありませんが、今までの輸送とは、ちょっと違ったことをしてみようかな、という考えはありますけどね。
-:それはちょっとヒントだけでも教えてください。
牧:ハハハ(笑)。体重が減らないような工夫といいましょうか。コンディション維持ですね。今までと違うことをちょっとやろうと思っているので。
-:最悪2ケタ減らないように。
牧:そうですね。そうならないようにしたいですね。せめてマイナス2キロか4キロくらいで出られるように。
-:大チャレンジですね。去年マイナス9でしたから。
牧:たぶん、いけると思いますよ。
-:僕らからしたらマイナス6くらいまでなら許容範囲と思っていいですか?
牧:そうですね。
-:久々のチャンピオンズCで3着。やっぱり古豪の実力を見せただけに、ホッコータルマエも楽じゃないよ、というところを見せたいですね。
牧:見せないといけませんね。
-:競馬というのはロックオンしている方が強いからね。されるより。ホッコータルマエをロックオンして、それでいかれたらもう向こうを褒めるしかしょうがないですもんね。
牧:こないだのチャンピオンズCがそうでしたよね。ロックオンしてあれですから。
-:でも、あのレースというのは、事前に逃げると思われていたコパノリッキーがまさかの……。ああいうことがあるのが競馬ですから。今回はスンナリ流してもらって、違う結果を。
牧:まさかでしたね。
-:結果が変わる時というのは展開が大幅に変わる時ですからね。それプラス上積みもあるし、大丈夫じゃないですか。
牧:そう思っています。
-:大井競馬場で応援してくれるファンにメッセージをお願いします。
牧:目つきなど表情は怖いですが、ファンが多いと思うんですよ。もう1回強いローマンレジェンドを見せれるように、厩舎スタッフ頑張ってやっているので、応援して下さい。
-:最後に寒くて雪が降った場合の対処法だけ教えて下さい(笑)。
牧:気にすると思います。馬が首を振っている時とかは気にしてます(笑)。
-:天気予報は雨。
牧:できれば終わってから降るのか、レースの前くらいは止んでくれないと困ります!
-:今はコンディションがいいので、馬が集中したら違う結果になるかもしれないし。雨にもマケズ、風にも……。
牧:風にもめげず(笑)。寒さにも負けず頑張りたいと思います。
(取材・写真=高橋章夫 写真=武田明彦、競馬ラボ特派員)
ローマンレジェンド・牧つばさ調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒
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プロフィール
【牧 つばさ】Tsubasa Maki
大阪府出身。競馬を好きになったきっかけはマヤノトップガンが勝った1995年の有馬記念で、馬と携わる職業に興味を持ち始めたのもこの頃。観光で行った鳥取の大山乗馬センターで「ここに来たら馬術の大会に出してやるぞ」と言われ、高校入学と同時に鳥取へ行くことを決意。高校3年時の国体では入賞を果たした。
卒業後は栗東ホース倶楽部に移り、競馬学校を志すも挫折。元々、牧場勤務への関心の方が強かったため、トレセンへの思い入れはそれほどなかった。しかし、牧場で勤めていた際に出会った藤原英昭調教師に「ウチに入ってみないか」と誘われ、もう一度競馬学校を目指すことに。
競馬学校修了後は師の言葉通り、藤原英厩舎に所属し現在に至る。ローマンレジェンドは自身が担当した中で、初めて重賞勝ちを収めた思い入れのある馬。栗東トレセン勤務6年目で、モットーは「誰が乗っても乗りやすい馬を作ること」。
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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