関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!


--:今日はダノンベルベールでオークスに出走される後藤騎手にお話を伺います。

高橋:後藤騎手、よろしくお願いします。まず前走の桜花賞、1枠からのスタートとなりましたが、レースを振り返っていただけますか?

後藤:うーん、枠順の関係で馬場の悪いところを走らされたという事もあったかもしれないけど、それ以上に、力を出し切れなかったという感じで、あの着順は納得のいかないところです。

高橋:レースの前から早めに栗東入りして調整をされていましたが、雰囲気はどうでした?

後藤:体調は絶好調だったし、枠順が決まった後も「ブエナビスタ以外の馬には負けないだろう」という気持ちを持っていました。正直レースの流れも悪くなかったし、勝ちに行くレースをしたけど、結果的にフケが来ていたっていうのもあって、そういう影響があったんじゃないかな。実際に終わったあともケロッとしていたし、能力を出し切っていなかったかなという感じです。

高橋:栗東遠征を経て馬が変わったところはありますか?

後藤:調教でも逞しくなったし、栗東に行った時も向こうの関係者も「こんなに良い動きをするのか」ってビックリする動きを披露していましたしね。この馬に関しては、僕は本当に強いと思って乗っているから、前走の負けっていうのは受け入れがたいものはあるんですけど。でも、自分では敗因は分かっているし、そこが解消されて能力を出し切れれば更に上位に来る事が出来ると思います。

高橋:桜花賞から中5週でのレースになります。5月6日に調教に乗られていますが、その時の感触はどうでしたか?

後藤:ちょっとイライラがキツくなっていました。桜花賞前に栗東へ入った時の調整は問題無かったけど、むしろ栗東から帰って来てからの美浦での調整が難しかったですね。精神的な疲れだったり、やっぱり遠征の疲れがドッと出て、体調が崩れてしまって。人間でもそうでしょ?遠征で気を張って、帰って来てから疲れが出て風邪を引く、みたいな。そういう感じが1~2週間続いて。そうなると「走れない苛立ち」っていうのが馬には出きて、一時期は体と気持ちのバランスが崩れていたけど、先週、今週あたりからマッチしてきましたね。

高橋:そうですか。今日(5/20)の調教はいかがでした?

後藤:もう後は調整というか無事に行ければ良いという感じで。一回桜花賞の時に絶好調に持って行けているから、そこから調整するという感じの調教で良いと思うし、2400mあるオークスの前だからテンションを上げたくないので、時計を出さない穏かな内容で。予定より時計は遅くなったけど、リズム的には良い走りだったと思います。

高橋:よく「レースが近づくと馬の顔が変わる」という話を聞きますけど、ダノンベルベールにも何かそういった変化は?

後藤:僕、それは嘘だと思うんだよね。

高橋:えー(笑)。

後藤:「この馬はレースが近づくと体を作る」って言う話を聞くけど、馬にはそういう意識は無いと思う。周りの人間の雰囲気が変わったり、一週間の流れの中で調教過程が変わって、イライラしたり飼食いが落ちる事はあるかもしれないけど、馬が自分から体を作るっていう意識は100%無いと思う。

高橋:自分から進んで食事量を調整したり(笑)。

後藤:飼葉に口をつけなくなる事はあったとしても、逆に体が減っている時はどうするんだと(笑)。「減っているからもっと食べろ」って言ってもね(笑)。馬が急に「食べなきゃ!」とはならないでしょう。

高橋:周りの人間の雰囲気や調教の感じから、普段との違いは感じるかもしれないけれど…。

後藤:そうですね。馬がレースが近づいている事を感じるかもしれないけど、でも、あまりそういう事を感じさせたくないっていう事もあるんですけどね、乗っている側としては。「よっぽど体を絞らないといけない」っていう馬だったら、少しピリピリさせるっていうのは良いですけど。特に牝馬とか敏感な馬は、レースでゲートインするまではテンションを上げたくないし、余計な事は考えないで欲しいと思います。オークスは初めての距離だし、大観衆のスタンド前からの発走だし、馬の気持ちをコントロールするのは難しいですしね。

高橋:歓声も大きいですからね。

後藤:うん、でも今までダノンは競馬場では落ち着いていますし、競馬で扱いやすいタイプです。

高橋:ダノンは距離も大丈夫という記事を読みましたけど、いつ頃からそう思われていましたか?

後藤:うーん、そうですね。阪神ジュベナイルの時かな。ジュベナイルの前まではレースの途中で行きたがる点があったけど、赤松賞で一回我慢させたら、その後は嫌な引っ掛かりをみせなくなりましたから。

高橋:初めての距離でどういう走りを見せてくれるか楽しみですね。今回は遠征も無くて条件が好転しますしね。

後藤:強いライバルたちはアウェイになるわけだし、こちらは地の利を活かせるという点もありますからね。

高橋:ブエナビスタは、東京コース初めてなんですよね。

後藤:長距離輸送自体が初めてですよね。でも、初めてと言っても、みんな一回は北海道から長距離輸送をされているんだけどね(笑)。

高橋:あー、そうですね(笑)。

後藤:長距離輸送がどうこうっていう話を聞くたびに「北海道から輸送してるじゃん」って思っちゃうんだけど(笑)。

高橋:生まれた牧場からトレセンに移動して来てますもんね(笑)。でも本当、私もずっと美浦に通っていたので、関東馬のダノンベルベールには頑張ってほしいです。

後藤:ここらへんで関東から希望の光を出していかないと、どんどん寂しくなっちゃうのかなあって。

--:桜花賞の敗戦で、周りからのマークも軽くなるかもしれないですしね。

後藤:うーん、周りのジョッキーがこの馬の能力をどのくらいに見ているのかは分からないけど、全くマークされないっていう事は無いと思います。逆に僕がダノン以外の馬でオークスに出るとしたら、有力馬の一頭として意識する存在ですし。栗東に遠征した時にも向こうの馬が出せないような時計を出して「凄いな、この馬」って関係者が驚く位の動きを見せて来ましたからね。強い勝ち方をしたレースもあるし、印象的なシーンが多いだけに存在を忘れられはしないと思います。まあ、こういう大レースになると、相手うんぬんというより、自分と自分の馬のリズムを重視するから、相手ばっかり意識する事も出来なくなってきますよ。例えばNHKマイルでもそうだけど、リズム良く走った馬が上位に来るでしょう。特にこういう若い馬のレースは、ちょっとしたリズムの乱れが結果に結びつきますからね。

高橋:そうですよね。NHKマイルもそうでしたもんね。馬券はダメでしたけど…。私、一番最近馬券を当てたのが去年のオークスなんです。

後藤:随分遡ったね(笑)。

高橋:それ以来はピクリともしないで…。

後藤:あんまり僕の馬券を買って欲しくないなあ(笑)。

高橋:いや、大丈夫です!私、一頭だけの応援馬券を買うと当たるんです。応援馬券で応援します。

後藤:よろしくお願いします。

高橋:最後に抱負をお願いします。

後藤:秋にも秋華賞があるけど、ここが最終的な目標の頂点だと思ってやってきました。いろいろ遠回りをしてきた部分もあったけど、仕上がりもギリギリ間に合ったという感じもするので、全てを東京の芝2400mの舞台で弾けさせる事が出来れば良い結果が出ると思います。

高橋:応援しています。今日は有難うございました!




後藤浩輝

1974年神奈川県出身。
1992年に美浦・伊藤正厩舎からデビュー。
JRA通算成績は1144勝(09/5/20現在)
初騎乗:1992年3月 1日 2回 中山2日 1R エンシュードラゴン(6着/16頭)
初勝利:1992年4月 4日 3回 中山3日 4R タイガーリリー


■主な重賞勝利
・09年京王杯SC(スズカコーズウェイ号)
・06年JCダート(アロンダイト号)
・04年朝日杯FS (マイネルレコルト号)
・02年安田記念(アドマイヤコジーン号)
積極的なファンサービスを行う明るいキャラクターで親しまれ、各メディアへの露出も多い人気ジョッキー。通算成績も1000勝を超え、実力は超一流。第70回オークスにダノンベルベールとのコンビで挑む。





高橋摩衣

生年月日・1982年5月28日
星座・ふたご座 出身地・東京 血液型・O型
趣味・ダンス ぬいぐるみ集め 貯金
特技・ダンス 料理 書道(二段)
好きな馬券の種類・応援馬券(単勝+複勝)

出演番組
「Hometown 板橋」「四季食彩」(ジェイコム東京・テレビ) レギュラー
「オフ娘!」(ジェイコム千葉)レギュラー
「金曜かわら版」(千葉テレビ)レギュラー
「BOOMER Do!」(J SPORTS)レギュラー
「さんまのスーパーからくりTV」レギュラーアシスタント


2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。 明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。 2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。 いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。