関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

須貝尚介調教師

まだまだ続きそうなゴールドシップ(牡4、栗東・須貝厩舎)の快進撃だが、まずは前半戦の山場となる天皇賞(春)まであと数日。この中間も例に漏れず大特集してきたが、締めくくりはやはり須貝尚介調教師の最終ジャッジ。力強いコメントと共に、入厩が決まっている全弟の話題にも触れていただいた。当レース後、宝塚記念までの独占取材も約束しておこう。

一番といっても過言ではないデキ

-:本番直前の追い切りを終えて感触はどうですか?

須貝尚介調教師:先週ビッチリやって時計も出ているので、今回はもう息の入りを整える程度の調整で。もともとCWでやるつもりだったんだけど、深夜にずっと雨が降っていて、あんまりイイ状態じゃなかったので、急遽、一番感触が良かった芝コースでやることに決めました。調整も上手く行きましたよ。

-:先週から引き続き、好調をキープして本番へ?

尚:もう今までのゴールドシップのレースに向かうデキの中でも3本の指に入るくらい……、一番イイ状態といっても過言ではないデキやと思います。

-:あと、先週から開幕した京都の馬場ですが。

尚:京都の馬場もね、そんなに高速馬場じゃなくて、いつもの春の京都よりもナンボか柔らかい馬場になってるんでね。そのあたりはゴールドシップに有利に働くんじゃないかなと思います。

-:土曜の夜から日曜にかけても雨が降りましたし、昨夜(23日)から今日にかけても雨が降りましたし……。

尚:そういうのが残っていればいいクッションでやれそうだね。良馬場じゃないといけない馬ではないのでね。力の要る馬場の方が、他の馬が脚を取られる分だけ、この馬にとっては有利に働いてくれるんじゃないかな。

-:大事にゴールドシップを管理している先生のことですから、ある程度クッションがあった方が、脚のケアの面に関してもイイと。

尚:そうですね。まあ、どういう馬場でも対応できるんでしょうけど、今の京都の馬場の状態はこの馬にとっては悪くないと思いますよ。

-:それでは、強いゴールドシップを見せる舞台は整ったと?

尚:見せてくれたらいいですね。この馬自身、コチラの要求に応えてくれてるのでね。



-:あと、最近のいいところと言ったら、落ち着きがちょっと出てきたのかなというイメージがあります。

尚:古馬になって、精神面でも少しずつでしょうけど大人にはなってるのは分かりますよ。

-:ファンはかなり熱くなっているんですけども。

尚:ハハハ(笑)。コレが終わったら宝塚という目標もあるので、オルフェーヴル、ジェンティルドンナも出走を予定していますから、それらと戦うときに恥ずかしくないような競馬をしてほしいですね。

-:同じステイゴールド産駒のフェノーメノも……。

尚:あの馬には土を一回つけられてるんで、何とかこのレースでリベンジを果たしたいなという気持ちはありますよね。

-:長距離適性を考えるとフェノーメノより分があると。

尚:それはどうかね。向こうだってやっぱりお父さん(ステイゴールド)の血が働いてるので。しかもスピードも持っているのでね。やってみないと分からないし。それだけ仕上げてこられる戸田先生(調教師)なのでね、侮ってはいけないと思いますよ。

-:慎重にあと数日調整されると思うんですけど、やっぱり怖い馬というのはゴールドシップよりも前のポジションで走っている馬ですか?ダービーの二の舞がないように上手いこと流れに乗るということですかね。

尚:そうですね、自分で競馬を作るくらいの気持ちで乗ってくれれば良いと思いますよ。

-:そんなにドッシリと構え過ぎずに。

尚:そうそう、そうそう。もったいない競馬だけはして欲しくない。



次走は宝塚記念 秋に全弟もデビュー

-:先週も先生と北村浩平助手と今浪厩務員のお話を載せさせていただいて、同時に吉澤ステーブルの社長さんの話も掲載しております。ご好評いただいているので、それくらい人気がある馬なんだなと。

尚:やっぱり責任を感じますよ。はい。

-:その責任を感じてらっしゃる見返りというか、このタイトルを獲れたら先生としては肩の荷が下りると。

尚:でも、その次に、ファンの支持で出走できる(ファン投票)宝塚記念も控えていますので。

-:これだけファンの付いている馬もなかなかいないですから。そりゃあ凄い人気ありますよ。

尚:アッハッハッハ(笑)。ありがたいです。

-:オルフェーヴルとジェンティルドンナとの戦いはファンも待ち望んでいると思うので、何とか良い結果を期待して。

尚:本当にそうですよね。ここまでの馬になるとはねぇ。調教師冥利やね。なかなか出会えない。

-:しかも開業されて早い時期、2年目でしたね。

尚:でも、それをいかに生かしていくかという重い責任もある。



-:ポイントフラッグがここまでの仔を出すなんて誰も予想できなかったです。

尚:でも、僕はね、なぜかあのお母さんの仔は譲れなかったんだよ。

-:それは何ででしょう?

尚:それだけ、やりたかったんだよね。

-:そのポイントフラッグの仔をやりたいという気持ちが当時からあったと。

尚:それを馬主さんがOKしてくれたので。

-:それもありがたい話ですよね。先生にはゴールドシップのみならず、今年デビューの弟も。

尚:そうよ~、ヤンチャなんだけど。また違ったタイプでオモロい。

-:弟のほうは体重が……。

尚:ちっちゃいね。兄はお母さんが出ているけど、弟はステイゴールドそっくり!

-:では、もっと軽さがあるような。

尚:軽い軽い。

-:今の調教の進み具合はどうなんですか?

尚:秋やろなぁ。やっぱりちっちゃいから。精神面も子供だから。まだワケわかってへん。でも、乗ったらシッカリしてる。見ていてもシッカリ走っているから。

-:これから2歳馬のデビューを控えて、トレセンにも2歳馬が増えてきていますので、そちらのステイゴールド×ポイントフラッグも楽しみですね。それでは、天皇賞のご健闘をお祈りします。

須貝尚介調教師インタビュー(天皇賞1週前)はコチラ→

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【須貝 尚介】 Naosuke Sugai

1966年滋賀県出身。
08年に調教師免許を取得。
09年に厩舎開業。
JRA通算成績は120勝(13/4/21現在)
初出走
09年3月8日 1回阪神4日目7R ワーキングウーマン(11着)
初勝利
09年3月14日 1回阪神5日目7R ホッコーワンマン


■重賞勝利
・13年 阪神大賞典/12年 菊花賞/皐月賞/神戸新聞杯/共同通信杯
(共にゴールドシップ号)
・12年 阪神JF(ローブティサージュ号)
・12年 アルテミスS(コレクターアイテム号)
・12年 アーリントンC(ジャスタウェイ号)


父は定年により引退を迎えた須貝彦三 元・調教師。自身は騎手として4163戦302勝。うち重賞は01年のファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。 09年から厩舎を開業し、初年度は年間10勝だったが、年々勝ち星を伸ばし、昨年はゴールドシップ、ローブティサージュ、ジャスタウェイを筆頭に勝ち星を量産。先日はあの矢作芳人厩舎の記録を塗り替え、史上最速でJRA通算100勝を達成。一躍、関西のトップステーブルにのし上がった。 「トレセンLIVE!」でコラムを掲載している榎本優也調教助手が在籍していることでも、競馬ラボではお馴染み。