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井上泰平調教助手

夏に強い牝馬。ジェンティルも例外なし

-:今日(6/12)の1週前追い切りでもスゴかったじゃないですか。

井:51.9-12.4。3ハロンは37秒台でしたね(岩田騎手が騎乗)。速いですよ。

-:しかも(時間帯が)1番乗りじゃないんですよね?

井:いの一番ではないですからね。安全を考えて、馬がハケるというか、渋滞の中で待っておくのは危険なので、ちょっとそういう渋滞は避けました。

-:それはコース上ではなくて、坂路を出るあたりの。

井:坂路って、角馬場があって下りて行くじゃないですか。そこにロープが張ってるんですね。みんなそこに行きたいから、何頭ぐらいいるかな……。マラソンのスタートみたいにズラッと並ぶんですよ。僕、そこで他馬に1回蹴られた経験があるんです。それでもポールは獲れないので。獲れないんだったら、安全を獲った方が良いと思うんで、ちょっと遅らせて。

-:その詰まっている馬たちが出ていくのを待っていると。

井:みんなは閉まっているところを待ってるんですよ。開いたら一斉に行くんですけれど、僕は開いてからの流れに乗るという感じのところじゃないと、ちょっと行けないですね。

-:実質的には3~4分待ってることになるんですかね?

井:まあ、そうですね。スタートしている馬からは若干、遅れてると思うんで。

-:ちなみに今日はどの馬と併せたんですか?

井:ユニコーンSを予定しているベストウォーリアです(井上助手が騎乗)。あの馬も良い動きをしてましたね。

-:白メンコ(ジェンティルドンナ)の動きはメチャクチャ。

井:僕、横で乗っていて、一瞬で置いていかれましたね。それぐらいは出るなと思ってたんですけれど、先週、追い切りに乗って状態もわかっていたので。

-:「牝馬、牝馬」と言われてますけれど、メニュー自体は牡馬と同等のメニューですよね?

井:こなしてます。実際、週に2回、馬場に入れたりだとか、男のメニューをずっとこなしているので。それでもそんなにしんどそうでもないので、大丈夫かなと。

-:ちょっと気温が暑くなってきている時季なので、馬にはちょっと気の毒な感じはするんですけれど、コンディションは良い感じに維持していますか?「夏は牝馬」とも言われてます。

井:牝馬の方が暑さに強いので。男馬は何か夏バテしますよね。目の回りが真っ黒になってね。腫れたりだとか、そういうのはないんで。逆に冬は冬毛がスゴく伸びて、牝馬は良くない気がしますね。







万全の状態での出走をファンに約束

-:これだけ走る牝馬で、しかも、男馬相手に期待と不安が入り混じるところ、コンディションや体重が気になるじゃないですか。現時点での体重はどれぐらいですか?

井:明日(6/13)、計るんですけれど、先週の木曜日で484なので、いつもより大きくつくっている感じですね。

-:前走時のドバイは参考外ですが、レースの時は大体、その前と比べたら、どれぐらいになりますか?

井:今日シッカリとやって、ちょっとテンション的にも上がるかも知れないので、落ちるとは思うんですけれど、そんなに大きく減ることはないと思います。

-:乗っていて、そんなに重たさがある訳でもなく?

井:そういうのは全く感じないですね、重いというのは。

-:もし、体重がちょっと増えるようなことがあっても、状態としては?

井:万全だと思います。

-:先ほど、心拍数の話をちょっと聞いたんですけれど、ジェンティルドンナの心拍数がスゴいと。

井:他の馬のデータはあんまり知らないんで。でも、聞いている話によると、そんなに大きく上がらないし、下がる速度も速いと聞いてますね。

-:馬格自体は480という男馬でも何頭といると思うんですけれど、持っているエンジン自体が全然、大きいということですね?

井:大きいような気がしますね。



-:3コーナーを回ってから、目一杯行く時というのは男馬でもヒイヒイ言うぐらいのものがありますよね?

井:そうですね。それに牝馬ですが、牡馬に負けるようなエンジンではないんじゃないかなと思うんです。今まで色んな馬とやってきて、結果も出てるので、その辺は心配してないです。

-:最後にジェンティルドンナを応援しているファンにメッセージをお願いします。

井:応援よろしくお願いします。良いレースをして欲しいですね。

-:個性がブツかりあって、ファンにとってはこれ以上ない楽しみになりますね?

井:よくそういう声を聞くんですけれど、トレセンの中でも「やっぱり、今回はおもしろいよな」というレースだと思うので。

-:この間のダービーから安田記念と府中に行って来たんですけれど、久しぶりに競馬が盛り上がってるな、という兆しが見えていて。ダービーも13万人超のお客さんが見えて、例年以上に盛り上がりがありました。阪神競馬場の宝塚記念はいつもガランとしているイメージがあるんですけれど、そこに一杯人が来ると思ったら、ワクワクしますね?

井:そうですね。本当にスゴいことだと思いますよ。

-:大観衆の中でジェンティルドンナらしい走りを。

井:そうですね。ハジけて欲しいですね。

-:ハジけるような走りを期待しています。

井:ありがとうございます。

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【井上 泰平】Taihei Inoue

大阪府豊中市出身。9歳から乗馬を始め、高校生時代に国体を優勝。必然の流れにより大学では馬術部に入る。卒業後は美浦分場に2年間勤務。アイルランドの研修などを挟んだ後に競馬学校へと進学し、中村均厩舎からトレセン生活をスタート。その後は開業直後の角居勝彦厩舎で調教主任を務め、大久保龍志厩舎では持ち乗りから攻め専に転身。後の名門厩舎の基盤を築く。
32年に渡る馬乗り人生の中で、現在モットーにしていることは「馬との信頼関係を築くこと。分かりあえたかなと思っても、また違うのかなとそれの繰り返し」と。石坂正厩舎の屋台骨を支えるベテラン調教助手。