ゴール前では首を撫でていた ダノンプレミアムが完勝!【平林雅芳の目】

ダノンプレミアム

17年12/17(日)5回阪神6日目11R 第69回朝日杯FS(G1)(芝1600m)

  • ダノンプレミアム
  • (牡2、栗東・中内田厩舎)
  • 父:ディープインパクト
  • 母:インディアナギャル
  • 母父:Intikhab

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直線入口では、もう前を遮る馬は何もいない。ラスト300の標識を通過して鞍上に促されたダノンプレミアムは加速して行く。ラスト200手前でステッキを2発入れて締めにかかる鞍上。ラスト100手前では、ステッキを入れた後でオーロラビジョンで後続を確認する余裕。ゴール板を通過する時には、クビを愛撫するほどの余裕を見せてのフィニッシュだった。着差は3馬身半と出たが、その差は無限大とも思わせるほど。
ダノンプレミアムの勝利は、この世代でNo.1かも知れないパフォーマンスを見せての大楽勝の勝利であった…。

いつもどおりに、パドックに入ってくる時から見ていた。入場から見て精神状態を知るのもある。若駒のわりには大きく興奮している馬もいない。周回を重ねるうちに馬の特徴、性格を少しでも見つけたい。ロードカナロア産駒は顔が小さいのに気が付く。今後も気をつけてみようと思う。
ダノンスマッシュが、やや気負い過ぎかなと思える気の入り過ぎを感じる。ダノンプレミアムはディープインパクト産駒のわりに、ドッシリ太めに映るシルエットだ。だが落ちつきは一番だ。
そして馬場入場。内のダートコースの方から入ってきているわりにはすぐに右にと、そしてキャンターで走り去っていく馬が多い。ここらが若い性格なのかと、馬番をチェックする。10頭が続いたが、ダクを踏んで誘導馬の方へと歩いて行った中にダノンプレミアムの堂々たる姿を見ていた。

スタートを出た瞬間に、ダノンスマッシュが馬群の一番後ろに置かれた。後でPVで見ると、スタート直後に右に馬がヨレて出て、危なく鞍上が落ちそうなぐらいであった。パドックから馬場入場で《気負いが過ぎるかな~》の不安が的中してしまうなんてであった。当然に後方のインを選択をする乗り方となってしまっていた。
ダノンプレミアムは好発とも思えるセンスの良さでさっと前を取り、理想的なポジションで進める。先行馬が見当たらないの読み、ケイティクレバーが出して行くが、流れは落ち着いたものとなる。
絶好の3番手の内目をダノンプレミアム。ケイティクレバーが造ったペースは1000通過が59.3だが、パンパンの良馬場ならこれはスローな流れと言えるもの。4コーナー手前で後ろの方からステルヴィオが外を追い上げてきたぐらいで、前はそんなに動きのない流れとなった。

直線へ向くまで動きが少なかっただけに、どの馬も手応えは十分に残っている。
少し早いかなの仕掛けながら、馬に任せて前へと出てきたダノンプレミアム。あっという間に後続との差をどんどんとつけて伸びて行く。瞬時に置かれてしまった2番手グループ。ひしめく中から、タワーオブロンドンがラチ沿いを伸びてくる。しかし外から一気に終い脚を伸ばしてきたステルヴィオの勢いが良かった。ダノンスマッシュも進路を探しながら脚を伸ばしてきたが、5着がやっと。スタートのアクシデントが致命傷であった。ケイアイノーテックも2着争いの写真まで入っていたが、4着までだった。

2戦続けての好時計で勝ったダノンプレミアム。それも切れ切れの動きである。レースも上手で、危なげない取り口。2018年の頂点になり得るのかは、これからの距離延長と自分自身との戦いとなるのだろうが、現時点ではNo.1の馬かと思えるものであった…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。