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「心強いパートナー」…亡くなったキングカメハメハへ安藤勝己さんが手記
2019/8/10(土)
2004年の日本ダービー(G1)、NHKマイルC(G1)を勝ったキングカメハメハが9日夜、亡くなった。18歳だった。
03年11月に安藤勝己元騎手を背に京都でデビュー。京成杯3着以外は1着とほぼ完璧な成績を残し、毎日杯1着後はNHKマイルCへ。2着馬を5馬身突き放し圧倒すると、続く日本ダービーではハイペースを力強く抜け出して、ダービーレコードで完勝した。
現役時の主戦であり、日本ダービー、NHKマイルCを共に制した安藤勝己騎手が、キングカメハメハへの想いをここに記す。
ダービーが特別なレースってイメージはずっとなかった。騎手を辞めてからダービーを勝ったことを言われると“良かったな”とは思うけど。正直、地方から来た騎手って中央のG1は何でもスゴいもんで、ダービーだけが特別スゴいもんでもなかった。それはキングカメハメハで勝たせてもらった時ももちろん同じ。全然プレッシャーはなかったね。
第71回だったね。あのダービーを振り返ると、ハイアーゲームが早めに来たからあそこで動いたけど、どう乗っても勝っとったってレース。本当は一瞬、動こうかどうか迷ったんやけど、キンカメだからいいや、ココから動いたって勝つわと思って動いた。力のない馬だったら、あそこで動かない。それくらい安心して乗ってられる、心強いパートナーやった。
あの時はハイアーゲームに乗ってたエビちゃんがキンカメの力を読み切れてなかったというのはあるね。あの戦法で勝てる馬かどうかというのが。反対に内でずっと我慢して、チャンス待ちでオレが動いてからスパッと来るとか。あの時は馬場の内が悪かったから、それもあるんやろうけど。自分で動いて負かせるだけの馬じゃないというのは、やっぱり分からなかったんやろうね。これが、当時はまだ完成されてなかったハーツクライが2着に突っ込んで来た要因でもある。
キンカメは新馬で勝ったし、その前も調教に乗ってたけど、最初はモタモタして鈍臭い馬やなと。ユタカちゃんなんかも乗ってたけど、ソコまでのイメージはなかったと思う。中山に行ってバルジューが乗って負けて、ユーイチが乗って毎日杯に勝って、その後はオレが乗ったけど、調教の動きからもう変わっとったからね。ググーンと強くなった。NHKマイルCなんかはケタが違ってたし、坂路でも動きがメチャクチャ良くなったから。性格も最初はトロいぐらいの方が距離は保つし、乗りやすい馬になる。案外調教なんか、最初から動くような馬は伸びしろがないかもしれない。ダービーを勝つ馬は早熟やなくて、やっぱり成長力が優れているんやと思ったな。
種牡馬になってからも応援してたけど、似たタイプじゃない色んな子供を出したよね。形はキンカメっぽい馬って少ないんやて。それが種馬として良いところだったかもしれない。繁殖の良さを出すタイプ、サンデー系を付けられる利点もあった。ソッチの良さばっかりが出て、キンカメっぽい馬はあんまりいなかったと思っとる。唯一、性格面で似とったのがやっぱりロードカナロアかな。アーモンドアイらには遺伝しとるけど、カナロアも使っとれば2000mまでは絶対にこなせた。キンカメはユッタリしたところがどの馬よりもあったからな。ルーラーシップも活躍しとって、ドゥラメンテ産駒も来年にはデビューする。孫を見るつもりでキンカメ系の血脈の繁栄を追いかけていきたいわ。
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