一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
マイネルラクリマは枠をどうこなすかだけ!
2014/10/30(木)
富士Sのシャイニープリンス(12人気②着)は前走と調教に乗った感覚から、かみ合えばあのくらいは走れると思っていました。ただ、その想像を絶するくらいに道中も上手くいって、正直あれ以上のタイミングでの追い出しはなかったと思います。それで後ろから差されてしまったのですから、凄く悔しいのですが仕方ないと気を落ち着かせました。
菊花賞のマイネルフロスト(13人気⑦着)は内枠を利用し、脚を溜めて乗りました。馬も頑張ってはいるものの、最後伸びきれなかったのは距離なんだと思います。速い上がりにも対応しきれませんでしたが、現時点での力は出し切ってくれました。
この土曜は東京で11鞍に騎乗します。アルテミスSのハナモモは先週追い切りに乗せてもらいましたが、やっぱりいい動きをしますね。かねてから使うとテンションが上がるだろうと見ていまして、カリカリするとこがあるので、そこが当日のポイントになります。パドックを落ち着いて周回してくれて、返し馬も落ち着かせていければ人気よりも走ってくれると思います。ゲートに気を付けますので、好スタートから流れに乗れれば、アッと言わせられるシーンもあるのではないでしょうか。
1Rのコスモボアソルテは初戦で砂を被って馬込みも入れているので、あの経験を覚えていてくれれば、前走以上の内容になると思います。同じ条件でもあり、力が入る一戦ですね。4Rのサンタナブルー(2歳新馬)はいい背中をしていて、調教でも素質を感じる馬ですね。ただ、気性がまだまだ若いので、一生懸命走ってくれるのか、気を使ってしまうのかが読めない部分ではあります。9Rのワイルドダラーはレースで初めて乗るのですが、能力はかなり高そう。権利持ちで狙ったレースに乗せていただけるのも有難いことですし、研究して結果を残したいところです。
日曜も東京で7鞍に騎乗します。天皇賞(秋)のマイネルラクリマは8枠18番を引いてしまいました。いつも仕上げは厩舎サイドにお任せしているのですが、状態はかなりいいそうで、僕たちの話題は「枠をどうこなすかだけ」ということで持ち切り。日曜の天候が渋りそうなのも助かりますし、いい状態が長く続く馬なので、このメンバーでも差はないと本気で思っています。1Rのホワイトウインドはスタートが鍵。前走も出は良かったのですが、二の脚が利かなくて、その分だけ勝ち馬と差が開いてしまいました。前半の位置取りに気を付けて、早い時間からリズムに乗りたいと思います。
今日(木曜)は調教が早く終わったので筑波山に登ってきました。ここのところG1も続いて、上手くいくレースもあれば、責任を感じるレースもあったので、そんな時はいつも一人で山登りに行くんです。今回はいつもと違うルートで、山頂まで1時間ちょっとの登山でした。そこそこ険しい道ですが、幼稚園くらいの子も団体で登っていたりするので、時間をかければどなたでも大丈夫かと思います。山からパワーをもらえること間違いありませんので、良かったら皆さんも挑戦してみてください。今回も道中の写真を掲載しておきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。