競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【オールカマー・解説】こちらもダービー馬が貫禄勝ち、レイデオロ復権!!
2018/9/25(火)
18年9/23(日)4回中山7日目11R 第64回オールカマー(G2)(芝外2200m)
- レイデオロ
- (牡4、美浦・藤沢和厩舎)
- 父:キングカメハメハ
- 母:ラドラーダ
- 母父:シンボリクリスエス
先に神戸新聞杯の映像が流れる。抜け出たワグネリアンにエタリオウが迫ったところがゴール。危なげない勝ち方で、いい秋の滑り出しをした今年のダービー馬のシーンを眺めた。 こちらは絶好の位置でレースを進めたアルアインが、ラスト1ハロンで抜け出す。いいタイミングでの仕掛けだったが、レイデオロが追い詰めて抜いた。迷いなく内を狙ったルメールの、鋭い判断の妙であろう。離れた3着争いにダンビュライト。何とか最後に脚を使っての食い込みだが、したいレースが出来ずでのもの。強い馬が強い競馬で勝つ、これが競馬の神髄なのであろう・・・か。
中山はパドックを終えて短いトンネルを経て、スタンドの端の空間に出てくる。以前の馬場内からトンネルを潜って出る出方でないのはいいが、ファンが身近で見れる場所だけに、入れ込む馬にはあまり嬉しくない場所を通過する。 レイデオロが一番先にルメールを乗せて出て行く。ややテンションが高い。4番目に入ってきたアルアインはどっしりと落ち着いて、返し馬の入りもいい。そして大方の馬が行った後、ダンビュライトが検量室の前の枠場に入れて武豊Jが乗ろうとするが、かなり馬が入れ込んでしまっている。一度は上にジャンプして、武豊Jもかなり上に弾んだ。何とか駆け足で馬場入りをして行った。 その返し馬もかなり我儘な感じである。アルアインがいい感じで返し馬をして行ったのに反して、ダンビュライトの今日には力みが感じられてしまう。
4コーナーの奥のポケットでゲートまで待つのだが、相変わらずアルアインはいいが、レイデオロも落ち着いてきだした。ダンビュライトも少しは気分が落ち着いたのか、だいぶましになっていた。そして神戸新聞杯の映像が流れて場内が盛り上がった後に、ファンファーレが鳴り響く。 ゲート入りして固唾を呑んでみていると、ダンビュライトがゲート内で落ち着かない。挙句の果てには、ゲートオープンした時に上にジャンプしてしまって出遅れ気味となる。イメージとしては前々でレースをするだろうと思っていただけに、これにはガックリする。何とかレイデオロの内の7番手と、位置が後ろで眼の前を過ぎていく。
マイネルミラノが逃げてアルアインが単騎の2番手。絶好の位置を確保して進める。向こう正面で誰も動かず静かな流れ。3角過ぎて、レイデオロがダンビュライトの横を少し前に出て蓋をする。ダンビュライトは動けない位置のままである。 4角を廻って、アルアインが前へと出て行く。レイデオロがどうするのかと見ていると、外を選ばず進路を内めに取るルメール。そのちょっと後ろでダンビュライトもスペースを探すも、なかなか空いてくれない。レイデオロはインを狙い、鋭く伸びていく。 逃げ込まんとするアルアイン。インから脚を伸ばすレイデオロ。ゴールもう少しのとこで、勢いづいたレイデオロがさらに距離を詰める。きっちりと体半分、前に出たレイデオロ。そこから少し離れた後ろではエアアンセムが3着安泰か、と思いきやダンビュライトが内を鋭く伸びて交わした。
神戸新聞杯のエポカドーロといいオールカマーのダンビュライトといい、今回が千載一遇のチャンスであったはず。自らのスタートのアクシデントで、思いもしないレースをしてしまう。ここらも運なのかも知れない。 中山で眼の前でダンビュライトのテンションが高くなって行くのを観た。阪神ではどうだったのか。
火曜朝の坂路監視小屋。友道師の姿はなかったが、音無師はいつもの席にいた。ダンビュライトはこの後、天皇賞を予定しているらしいが、出走馬の数によっては出られないかも知れないとの事。 今年と昨年のダービー馬2頭は、秋緒戦を最高の滑りだしである。そしてマカヒキも出走を予定。3代のダービー馬が揃うわけである。また、噂ではダノンプレミアムも出てくるそうである。札幌記念馬、サングレーザーや宝塚記念馬のミッキーロケットと群雄割拠の顔ぶれ。今から楽しみな秋の天皇賞である。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。