8歳にして今が最盛期のアップトゥデイト 打倒・絶対王者の気運高まる
2018/4/11(水)
-:いま馬房の様子を拝見していますが、カイ食いは問題ないタイプですか?
佐:大丈夫ですね。昔は全然食べなくて、ちょうど障害をやり始めるくらいから食べ出して、良くなりましたね。
-:エサにも工夫されていたりしますか?
佐:ノースヒルズさんの生産馬で、ノースヒルズオリジナルの配合飼料と燕麦をあげているだけですね。僕はメッチャ食わせる方なので、太らないからいい配合飼料かと思います。
「でも、中山大障害より今回の方が、調教が馴染んでいるといいますか、ナチュラルにやれているから、具合そのものは今回の方がいいと思います。1度、阪神スプリングJを叩いているから、体の締まり方も前回より違います」
-:今回もオジュウチョウサンという絶対王者がいます。相手は手強いですが、今の状態でどこまでやれるか、ですね。
佐:この前の阪神スプリングJでもオジュウチョウサンがいなければ、これくらい強いんだなと再認識しましたね。でも、中山大障害より今回の方が、調教が馴染んでいるといいますか、ナチュラルにやれているから、具合そのものは今回の方がいいと思います。1度、阪神スプリングJを叩いているから、体の締まり方も前回より違います。
-:いまのオジュウチョウサンを負かしたら、かなり話題になりますね。
佐:正直、今回ダメだったら、2度とダメでしょうね……。この前の中山で半馬身ですから、勝つチャンスはあると思っています。
-:1回使っている強みもありますからね。
佐:向こうが順調さを欠いていますからね。でも、オジュウチョウサンが以前、骨折明けで走った時も異常な強さでした(苦笑)。心が折れそうでしたよ。
-:今までの中でどのレースが一番印象に残っていますか?
佐:やっぱり去年の中山大障害で2着かな。最初にJ・G1を勝った時(2015年)は、いま思えばそこまで苦労せずに、勝っちゃったみたいなところはありました。調教についてもそれなりには考えていたけど、まさかあんなに強いとは思っていなかったから。
-:この馬とオジュウチョウサンの激闘で、障害レースに対しての関心も高まったのではないでしょうか。SNSでも中山大障害での佐々木さんの涙がけっこう話題になっていましたからね?
佐:いや、撮られたなと(笑)。いつも泣くことはないんだけど、ポロポロポロと泣いてしまって。
-:いやいや中山は花道ですから、すぐにバレますよ。最後にレースに向けて、まとめの一言をお願いします。
佐:勝つならここしかないと思います。
-:断言してしまって大丈夫ですか(笑)?
佐:いや、これで負けたらショックだなというくらい調子が良いから、今回は逆転できるチャンスと思うのですがね。
-:ありがとうございます。健闘を祈ります。
プロフィール
【佐々木 貴啓】 Takahiro Sasaki
1987年生まれ、滋賀県出身。父は佐々木晶三調教師。小学5年生の頃から乗馬を始めるも、馬事とは関係のない短大を卒業。その後はアイルランドのトレーシー・コリンズ厩舎で研修へ。帰国後はノーザンファームを経て、2011年からトレセンで勤務。
人生の転機となったアイルランドでの生活については「英語もしゃべれない、乗馬だけで競走馬に乗ったことがないまま行ったから、競走馬がこれほど引っかかるものと思っていなかったから、すぐに帰りたいと思った」と語る。
しかし、幾度となく訪れた挫折を乗り越え、徐々に調教にも乗るようになり、厩舎の中でも調教上手な助手として成長。1年間、濃密な時間を過ごした。今では「もうちょっと馬をやってから行ったらよかった。いま行ったらもっと楽しいかもしれない」と振り返る。アップトゥデイトはデビューからの付き合いで、自身がトレセンで勤務するようになり、すぐに担当した思い出深い一頭。